退職代行サービスに関心を持つ多くの方が気になるのは、「実際にどんな人が利用しているのか?」という点でしょう。ここでは、現時点で公的な統計データは限られているものの、いくつかの調査データや業界関係者の声をもとに、退職代行サービスの利用者の実態を分析していきます。
年齢層別の利用者数と割合:
具体的な数値を示すことは難しいのですが、複数の退職代行サービス提供事業者の情報によれば、20代後半から40代前半の利用者が中心となっている傾向があります。これは、社会人経験をある程度積み、キャリアや働き方について真剣に悩む時期と重なるためと考えられます。
- 20代後半: 初めての転職を考える層や、早期にミスマッチを感じて退職を希望する層が見られます。
- 30代: キャリアの転換期を迎え、より良い条件や働き方を求めて転職を検討する層が多いです。
- 40代前半: 管理職としての責任や、将来のキャリアパスに悩む層、あるいはハラスメントなどにより心身の疲弊を感じている層も少なくありません。
もちろん、上記以外の年齢層の利用も存在します。近年では、50代以上の方からの相談も増えているという声もあります。
退職理由のランキング:
退職代行サービスを利用する方の退職理由として、特に多く挙げられるのは以下のものです。
- 人間関係の悩み: 上司や同僚とのコミュニケーション不足、パワハラ・モラハラなどが深刻なケースも見られます。
- 給与・待遇への不満: 労働時間に見合わない給与、評価制度への不満などが挙げられます。
- 心身の疲弊: 長時間労働、業務量の多さ、休日出勤などによる精神的・肉体的な負担が限界に達しているケースです。
- キャリアアップの見込めない閉塞感: 現在の職場で成長を感じられない、将来のキャリアパスが見えないといった理由です。
- 新しい挑戦をしたい: 別の業界や職種に興味があり、新たなキャリアをスタートさせたいという前向きな理由もあります。
- 退職を言い出しにくい: 上司に退職を切り出すことへの心理的な抵抗感や、引き止められることへの不安を感じているケースです。
- 退職手続きが面倒: 煩雑な手続きを自分で行う手間を省きたいという理由もあります。
退職代行サービスの利用は、これらの複数の理由が複合的に絡み合っている場合や、「自分で直接伝えるのが難しい」という状況を解決するための手段として選ばれることが多いと考えられます。
利用者の男女比:
現時点ではっきりとした男女比の統計データは見当たりませんが、一般的には女性の利用者の方が多いという傾向があるようです。これは、女性の方が人間関係の悩みを抱えやすい、あるいは退職を言い出しにくいと感じる傾向があるといった要因が考えられます。しかし、近年では男性の利用者も増加傾向にあります。
雇用形態別の利用状況:
利用者の雇用形態としては、正社員の方が最も多いと考えられます。しかし、契約社員、派遣社員、アルバイト・パートの方からの相談も少なくありません。非正規雇用の場合、契約期間満了に伴う退職であっても、会社との間でトラブルが生じるケースや、スムーズに退職手続きを進めたいというニーズがあると考えられます。